中小企業の経営者が苦手なこととは何でしょう? いろいろありますが「権限委譲」がそのなかの一つに挙げられます。理由は簡単。会社を創業した経営者が、社内で最もパワフルかつスピーディーで優秀だからです。しかし、会社を1ランク上のステージへとバージョンアップさせるには、すべてトップダウンせずに、幹部や社員にある程度の権限を委譲することが求められます。
「当社は社員に権限委譲しているけれど、業績が思うように伸びない」。こんな声が聞こえてきそうですが、その原因を「権限」と「責任」のマトリクスで考えてみましょう。
権限と責任のバランスが大切
理想的な権限委譲は「権限と責任をバランスよく与えている」(権限○、責任○)状態を指します。社員の能力に応じて権限を与え、それと同様の責任を課します。そうすれば社員は生き生きと自ら考えながら、自発的に仕事をするようになります。
2つめは「権限は与えているけれど、責任は与えていない」(権限○、責任×)ケース。「責任は俺がとるから、好きにやれ」という状態は、一見部下にとってやりやすそうな気がしますが、一歩間違えると丸投げ同然です。部下はどのように仕事を進めればいいのかわからなくなり、仕事が自分の能力の範囲内に納まってしまいがちになります。裁量の範囲内でベストパフォーマンスを発揮してもらうには、権限に見合った責任を与えましょう。
責任だけ過度に課すと、社員は潰れる
あまり好ましくない例は以下の2つあります。これらはお世辞にも「権限委譲」とはいえません。
「はじめから権限も責任も与えていない」(権限×、責任×)。社員は社長の指示されたままの仕事をこなすだけ。指示通りのアウトプットは、ある程度期待できますが、それ以上の結果はまったく望めません。社員からの自発的なアクションは皆無。仕事にやりがいを持てず、有能な社員ほど辞めていきます。
最後はこれら4パターンで最も好ましくない「権限は与えずに責任だけを課す」(権限×、責任○)ケース。責任だけ与えられても、何一つ自分で決めることができなければ、社員は社長の意見に盲従するのみ。どんなに能力がある社員でも、自ら考える行為をしなくなり「社長が気に入るアイデア」を機械的に生み出すようになります。そして、プレッシャーを過度に与えると、社員の心身を破壊し、潰れてしまいかねません。実は、中小企業経営者に最も多いのが、このタイプといわれています。
会社を大きく成長させたいのなら、社長は有能な幹部や社員にとりあえず権限を委譲してみましょう。委譲した結果が60点以上ならば、言いたいことをぐっとこらえてみることも大切です。
「最近の若手社員は年の離れたオヤジ世代とは飲みたがらない」。こんな風に勝手に思い込んでいませんか? 実は最近の若手社員は、その逆の傾向にあるのです。
社団法人日本能率協会が実施した、2009年度新入社員「会社や社会に対する意識調査」の結果によると「上司との人間関係構築のために、あなたが有効だと思うことは何ですか?」の質問では、89.9%の新入社員が「飲み会への参加」を挙げています。経営者、上司、先輩が想像している以上に、若手社員は飲み会が人間関係構築に効果的と考えており、会社の雰囲気に早く慣れたいと思っていることが読み取れます。
飲み会費用の予算化は定例化につながる
最近では、職場のコミュニケーション促進を図るために、部署単位の飲み会費用が予算化されている企業が目立つようになってきました。予算化することの最大のメリットは「飲み会を開く口実ができる」ことでしょう。予算化することで飲み会をコンスタントに開く必要性が出てくるからです。
「このプロジェクトが終わったら、みんなで打ち上げをしよう」というケースはよくあることです。ただ、このケースでプロジェクトの終了が明確でない場合、打ち上げがずるずると先延ばしになり、結局開かずじまいになる危険性があります。そういう観点からも「予算化」「定例化」が必要なのです。
低コストの「自由飲み会」で社員の交流を図る
あるいは、週末の夕方から社内の応接スペースの一角等で「自由飲み会」を開催するのも効果的です。名称通り、自由参加がポイント。ビールや簡単なおつまみを用意しておけば、夕方を過ぎて一仕事終えた社員が自然とぞろぞろと集まるようになります。そこで社員は他部署のメンバーや世代の離れたメンバーとも交流が図れるのです。
この制度ならば、極めて低コスト。飲み会を予算化することに抵抗がある企業でも、簡単に導入できます。社員の活発な交流を促すには非常に有効ではないでしょうか。