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3.決算は必ず黒字にしなさい

●100万円を用意できない人は事業では成功できない

 あるとき、知人が私のところに相談にきました。電話関連の回線を販売していきたい、資本金はいくらでもいいと聞いているから手元にある10万円で始めていいでしょうか、ということでした。現在は会社法が改正され、資本金は1円でも株式会社を設立できるようになりました。

 2006年までは、株式会社の資本金は1000万円以上と決められていて、なかなか株式会社がつくれないという時代がありました。しかし、それでは、若い人たちがなかなか起業することが大変だろうということで、この資本金の制限が外れ、1円からでも会社を設立できるようになっています。

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 ですが、私は1円企業はやってはいけないと思っています。最低でも100万円以上は貯めるべきでしょう。100万円でも会社の机やパソコン、電話やコピー機、事務所の保証金などを支払えばすぐになくなってしまいます。ましてや1円起業では何もできず、決算書は赤字になるだけでしょうし、創業資金として100万円を貯金できない人が、その後何をやってもうまくいかないでしょう。

 会社を始めること、会社を設立することは誰にでもできます。肝心なことは、会社を設立することではなく、継続させることだということを忘れないでください。

●決算書は会社の通知簿

 ところで、みなさん方の学生時代の成績はどうだったでしょうか。成績いい人は、堂々と自分の通知簿を人に見せたりできました。でも、この通知簿、就職のときまでは役に立つものの、社会人になってからは、なんの通行手形にもなりません。

 銀行に行って融資を受けるとき、銀行の担当者は「社長、学生時代の通知簿を見せてください」とは言いません。銀行もリース会社も、なかには事務所を借りる時のビルオーナーまでもが口をそろえて、「決算書を見せてください。できれば3期分お預かりしてもよいですか」と聞いてきます。学生時代は通知簿です。会社を経営するようになってからは、決算書が会社の通知簿になるのです。

 では、通知簿は「優」がいくつあるのかで成績の善し悪しが判断されましたが、決算書はどこで判断されるのでしょうか。自己資本を増やすことではないでしょうか、借入金などの負債を圧縮しておくことでしょうか、借入金などの負債を圧縮しておくことでしょうか、総資産の圧縮でしょうか、営業利益を増やすことでしょうか――

 もちろん、これらの数値がよければよいで越したことはありませんが、よく勉強している社長さんでないと、この数値を見ても、自社が同業他社に比べて、いいのか悪いのか判断つかないと思います。

 じつは、これらの小難しい数値よりも、外部に対して、もっと簡単にアピールできる数値があります。それは、黒字です。決算書は「1円でも黒字」であることが一番重要なのです。粉飾はぜったいにいけませんが、いろいろな勉強をして、さまざまな手をつくして、黒字にすることが絶対条件になるのです。

 もちろん、にわか勉強より専門家である税理士に相談するのが一番ですが、税理士の中には単なる“申告の代行屋さん”も多く、その人たちは赤字でも平気で、社長に対策を伝えず、赤字で決算申告をします。したがって、赤字決算を迎えそうだったら、決算2ヶ月前に相談をして、今期に落とさなくてもいい経費などを繰り越して、黒字にできるなら、黒字決算にすることをお願いするといいでしょう。

 あなたの会社の将来性がいくらすばらしくても、あなたが社長としての能力を備えていたとしても、最終的には決算書が一番重要視されるのです。このことは経営者として肝に銘じておいてください。

●赤字決算でも資金調達できるケース

 例外を一つご紹介します。インターネット通販サイトを運営している「アマゾン」。「アマゾン」は不思議な会社です。この会社の決算書を見たことはありますか。実は、毎年赤字が計上されています。

 金融機関は赤字の会社にはなかなか融資をしてくれません。利益を出せていない会社だと、融資の担当者は、倒産するのではないか、そうすると貸し倒れになるのでと、不安になり融資に躊躇するからです。ましてや、「アマゾン」は上場しています。投資家にとって投資先が赤字を出し続けると、「売り」に走る可能性もあります。資金調達が先細りすることは自然なことといえるでしょう。

 では、なぜ「アマゾン」は赤字でも投資家の指示を得て、資金調達に成功しているのでしょうか。それは、将来の売上見込みが立っているからです。「アマゾン」の2013年第3四半期決算は、純損益は4100万ドルの損失、相変わらずの赤字を計上しています。一方で、売上高は171億ドル。前年同期の138億ドル、アナリストの予想平均の168億ドルを上回っています。つまり、安定した売り上げが見込めるため、将来への期待から投資家が離れないのです。中小企業も、将来性が見込まれ、マーケットと売上が予測できれば資金調達ができるという事例です。

出典:社長にとっていちばん大事な「お金」「売上」「経費」がらくらくわかる本
運営:記帳・経理代行実務研究会

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